年末年始のECビジネスは、クリスマスや新春セール、福袋販売などで大きなチャンスを迎えます。こうした販売を成功させるには、急増するアクセスに備え、負荷対策や転売bot対策をしっかり行うことが重要です。そこで活躍するのが「仮想待合室」。これにより、システムを安定させつつ、マーケティングの効果を最大限に引き出すことが可能です。この記事では、そのメリットについて詳しく解説します。
年末年始は、クリスマスギフトや歳末・新春セール、福袋販売など、EC事業者にとって最も重要な書き入れ時の一つ。近年では単なる割引セールだけではなく、コラボレーション展開や限定品の販売を通じて、話題性をより高めるような施策も増えています。通常をはるかに上回るアクセスが一気に集中するこの時期に販売を成功させ、売上拡大に繋げるには、①負荷分散対策を万全にすること、②適切なbot対策を行うこと、③注目度が集まる時期を活用したマーケティング施策を実施することが重要です。この3点を全てカバーし、アクセス集中時のお供として多くのEC事業者に重宝されているのが仮想待合室。この記事では、仮想待合室のメリットについて紐解いていきます。
【こんな人におすすめ】
- 販売企画・戦略に携わっている方
- 年末商戦に向けてウェブサイト対策を強化したい方
- 年末商戦時に実施すると効果的なプロモーション方法を知りたい方
- 大手企業の「仮想待合室」導入例が知りたい方
ブランドにとって勝負時である年末商戦。こうした商機を成功させ、長期的な事業成長に繋げるためには、「売上目標を追うこと」のみではなく、以下の3つのポイントが重要になります。
例えば、インフラ態勢が不十分でアクセス障害が起こり、遅延が数時間生じてしまったとしましょう。販売再開後に売上額を達成できたとしても、システム復旧や顧客対応に費やす余分のリソースや、顧客満足度の低下やメディア露出によるブランドイメージの損失など、ダウンタイムのビジネスダメージは決して軽視できません。また、システム障害が起こると顧客が競合他社へ流れてしまうリスクも招きます。実際、以下のようなデータも各調査から報告されています。
- 3人中2人の顧客が、ECサイトに少しでも問題があった場合に信頼を失うと回答
- 約70%の顧客が、ECサイトの動作速度によって購買意欲が影響されると回答
- システムダウンや速度低下が頻繁に起こる企業は、そうでない企業に比べて16倍のコストを負担していると回答
このように、負荷対策は売上とブランドイメージを守るために不可欠だと言えます。
限定コラボ福袋は転売botの標的になりがちです。過去には、170万ビジター中97%がbotだったという例も確認されています。「botでも人間でも、売上達成できるのであれば同じではないか」と考える方もいるかもしれませんが、転売botを放置すると、以下のようなビジネスダメージを招いてしまいます。
- 正規の方法で購入できなかった消費者の負担額が高くなり顧客満足度が下がる
- 企業・ブランドへの信頼度が低下する
- 顧客との関係構築・長期的なリピーター獲得の妨げになる
- 運用コストが上昇する
- 分析データにノイズが入る
だからこそ、「不正行為を防いで公平・公正な販売を行うこと」もEC事業者にとって必須事項だと言えます。
歳末セールや福袋販売など、アクセスが急増する場面では、特定のブランドや商品に対して購買意欲があるユーザーが一気に集中します。つまり、会員登録やアプリのダウンロードを促進したり、クロスセル施策を実施したり、将来の販売施策に活かすためにデータ収集するのに絶好なマーケティングの機会なのです。負荷対策やbot対策といった守備体制のみでなく、年末商戦の注目度を利用して売上やブランド力をさらに向上させるための施策を展開できてこそ、競合他社の一歩先をいく、プラスアルファの結果を出せると言えます。
仮想待合室が選ばれる理由、それは上記3つの点を一つのソリューションでカバーできることにあります。以下に続くチャプターでは、Queue-itの仮想待合室の仕組みと、具体的なメリットについて紹介します。
仮想待合室はオンライントラフィックを管理するためのクラウドベース型ソリューション。保護対象のページに流入するアクセス量(分間ボリュームの調整)と質(不正ユーザーの侵入防止)を管理し、システムの安定した稼働と公平な販売を実現します。また、待ち時間をマーケティング活用して顧客とのタッチポイントを強化することもできます。
🔍動画で仮想待合室のユーザー体験をチェック (再生ボタンをクリック)
サイトから待合室へリダイレクトされたビジターには、待ち番号や予想待ち時間、その他運用側が表示したいカスタマイズコンテンツが表示されます。そして順番が来ると、自動的に目的のページに遷移します。待合室で並んだビジターにはQueueトークンが発行されるため、サイトに戻ったビジターはスムーズに閲覧できるようになります。
仮想待合室は、以下のような書き入れ時に使われています。
- ブラックフライデーや歳末・新春セールなどのセール期間
- コラボ福袋などの限定アイテム販売時
- ポイントキャンペーン実施時
The North Face、楽天、トイザらス、Zalandoなど、多くの大手EC事業者が利用する仮想待合室。その主な理由を検討してみましょう。
まず、「確実に」アクセス集中対策ができる点。仮想待合室があれば、目的の販売ページにアクセスしようとするユーザーは、カウントダウンページ、もしくは待合室入室と同時にQueue-itのインフラにオフロードされるため、システムに負荷がかかるのを防ぎます。また、以下に説明しますが、待合室はスケーリングなど他の負荷対策では補うのが難しい部分もカバーでき、システムのボトルネックをしっかりと保護。実際、Queue-itを利用する企業からは、「予期せぬトラブルがなくなり安心できるようになった」「繁忙期のストレスがなくなりがなくなった」というような感想が頻繁に寄せられます。
「待合室のおかげで心から安心できるようになりました。確実にトラフィック管理ができる上に、変更が必要な場合はAPIやダッシュボードですぐに行うことができるので助かります。」
楽天フランス インフラ担当
ユーザーは、待合室上で自分の順番や推定アクセス時刻といった具体的な情報を確認することができます。また、待ち画面はHTML、CSS、JavaScriptを組み合わせて自由にカスタマイズできるので、自社ブランドに合わせたデザインを作ることができます。例えば、イギリスの某大手ゲーム会社は、新しいオンラインゲームの発売時にQueue-itを使用。待合室をゲームの世界観を巧みに表現した商品ページとしてカスタマイズし、キャラクター紹介やルール説明、各国の予約開始時間などを表示し、ゲームファンの心を掴む待ち時間を提供しました。
「あらゆるタッチポイントでかわいい印象を持っていただけるよう意識しながらブランディングしているので、画面がカスタマイズできる点も良かったです。」
PEACH AVIATION イノベーション本部本部長 村上篤実氏
「サイトをアクセス集中から守ることができると同時に、ここ数年で不正行為が上昇していたため、bot防止対策ができて助かっています。」
某チケット会社
待合室は、購買意欲の高いユーザーが無数に通過するポイント。つまり、ブランド側にとっては絶好のマーケティングの機会です。この機会を使って、顧客の好みや要望、特定のサービス利用状況などに将来の商品開発に活かせるアンケートを行ったり、関連商品の宣伝や割引クーポンを提供してクロスセルを促したりすることができます。例えば、以下のような施策が考えられます。
- 年末特別クーポンの提供や年末ポイント還元キャンペーンを実施で特別感を演出
- 年末のお礼メッセージや一年の振り返りを配信してロイヤルティ向上
- 「待合室画面をSNSシェアで特典がもらえる」キャンペーン実施で口コミ度アップ
- 対象のセール情報や商品情報を表示し、購入意欲を刺激
- 将来の商品開発に活かせるアンケート実施でデータドリブンマーケティングを促進
「待合室上にバナーを貼り、プロモーションコードとともにショップのウェブサイトにリンクしています。チケット販売の機会を活用して収益を増やせるのでとても重宝しています。」
テート・モダン 商業システムマネージャー
年末商戦は、購買意欲が最も高まる時期であるため、優待サービスを強化し、新規会員を獲得する絶好の機会です。このタイミングで会員限定の特典や販売を提供することで、顧客の満足度を高め、長期的なブランドロイヤルティを築くことができる上、新規会員登録を促進することで、将来的な販促活動にもつながります。
そこで便利なのが招待制待合室という機能です。招待制待合室とは、ユニークIDなどで認証されたユーザーのみがアクセスできる待合室。会員限定イベントを保護するほか、一般販売を保護する通常の待合室と組み合わせて使うことで、優待サービスをインセンティブに会員登録を促すこともできます。利用場面は会員限定販売を行う際や、または会員と非会員向けにそれぞれ異なる開始時間が設けられている販売時などが挙げられます。
株式会社モスフードサービスでは、ファンベースマーケティング施策としてコラボ福袋販売を2020年より実施。モスとキャラクターのファン両方に訴求するべく、任天堂やサンリオなど、人気キャラクターとのコラボ福袋を、年3回実施しています。モスとキャラクター、両方のファン層に訴求する販売で、普段以上のアクセスが集中しやすいため、Queue-itの待合室を使ってサイトを保護しています。
デジタル化推進部の山本拓哉氏は、Queue-it導入後の効果を以下のように語ります。
「お客様から、『購入できる時間を把握できるようになったこと、待ち時間を楽しく過ごせて、期待感を高まった』というようなお声をいただきました。ユーザーのストレスを軽減する一方で、システム負荷も適切に分散し、ユーザーと管理者側どちらものストレスを軽減し、円滑な販売ができるようになったことがメリットだと思っています。」
また、同じくデジタル化推進部の森永龍文氏は、保留になっていた企画を再開し、チームの軌道を修正するのに役立ったとも言います。「ネット注文のチームでは、次回福袋に向けてのアクセス集中対策でかなりのリソースを割いていたため、新規の案件は全て凍結していました。仮想待合室の導入後は、本来やるべきである他の案件や、お客様向けの新サービスに再着手できるようになったので、システム的にはとてもありがたいことです。」
さらにモスの事例を知りたい方は、こちらから事例記事をお読みいただくか、以下インタビュー動画をご覧ください。
🔍モス販売促進グループ&デジタル化推進部の方にインタビュー!Queue-it導入に至った経緯と効果(再生ボタンをクリック)
「招待制待合室を通過したユーザーはコンバージョン率が高く、開始11分間でその日の売上目標を、3時間でその週全体の売上目標を達成することができました。」
BEDRE NÆTTER Eコマース&パフォーマンス責任者 マーカス・フォルスバーグ