CNプレイガイド(コミュニティ・ネットワーク株式会社)は、創業から30年以上に渡り、国内の様々な人気チケット販売を支えてきました。オンライン需要が高まる中、「どうすればアクセスが集中する時にも障害のない安定したシステムを提供できるか」という課題に直面した同社がたどり着いた解決法は「仮想待合室」でした。
国内プレイガイド事業の先駆者としてネットやコンビニでのチケット販売をいち早く展開し、ファンとイベント主催者の橋渡し役を担ってきたCNプレイガイド。
近年では、プレイガイド事業からソリューション提供へと事業軸を変換し、自社のチケット販売サイト(CNプレイガイド)運営を続けつつ、プロ野球球団・放送局・プロモーターなど様々な主催者に対して、各ニーズに沿った「仕組み」を提供しています。
そんなチケット販売の裏方役にとって、どんな状況下でもスムーズな仕組みを提供することは欠かせません。特に主催者・ファン両者からの期待が高まる人気チケット発売時は、インフラへの過負荷によってシステム障害が起きやすく、この課題が一層顕著になります。
CNプレイガイドはどのようにこの課題を解消し、チケット販売の根幹を支えているのでしょうか。同社システム開発部本部長の長谷川広明氏にお伺いしました。
オンラインでのチケット販売開始以降、発売日の負荷集中は常に課題だったという同社。その傾向はネットの普及に伴いさらに強まったと長谷川氏は言います。
「普段は一日に数千人ほどしか来ないサイトでも、ピーク時には何万人、何十万人と殺到することもあります。その負荷をどう分散するかという課題をずっと抱えていました」
処理容量を増やすためにクラウドベースのサーバーに移行したものの、ピーク時の課題を満足いくほどまでに解決することはできませんでした。
「クラウドに移行すると、インフラは自由に増強できますが、フロントだけを増強しても、決済や発券で連携する外部のシステムといった拡張しにくい部分に全体のキャパシティが引きずられてしまうので、結局どこかが必ずボトルネックになっていました。」
CNプレイガイドシステム開発部本部長 長谷川広明氏
アクセス集中により完全にサーバーダウンすることはなかったものの、ピーク時に画面遷移が遅くなったりエラーが発生するといった問題が相次いでいたと言います。
「エラーの度にファンの皆さんに不快な思いをさせてしまっていました。繋がるまで何度もボタンを連打する方も多かったです。」と長谷川氏。「また、少しでも早く復旧しなければならず、チームにとってもかなりストレスでした。」
さらに、信頼関係への悪影響も懸念していたと言います。「こうした事態が続くと、ファンの主催者さんに対する信頼度、そして主催者さんの我々に対する信頼度を損ねてしまうのではという心配がありました。」
奮闘する日々が続く中、長谷川氏がヒントを得たのは東京オリンピックのチケット抽選申込サイトでした。サイトを訪れると、仮想待合室に案内されたと言います。
「何万人も待っていたのですが、非常にスムーズに申込できました。メール通知機能を使ったのですが、アドレスを登録すると自分の順番が来た時に通知が来る仕組みだったので、その場でじっと待っている必要もありませんでした。」
同様のソリューションが自社でも生かせるのではと考えた長谷川氏。「入口を絞って過負荷を防ぎつつ、お客様にストレスなく待っていただけるため、ピークに合わせた処理より待合室を設置する方がちょうどいいと感じました」と言います。
比較検討の末、Queue-itの待合室を選んだ理由をこう語ります。「先着順や管理画面含め、細かい部分で専門性が高いと感じました。また、デンマークの会社と聞いていたのですが、全過程で日本人スタッフが丁寧にサポートしてくれたため、安心して利用することができました。」
その後同社は特に人気度の高いチケット販売を行う取引先に仮想待合室を紹介し、利用を開始しました。その結果、アクセス集中時にも落ち着いて、スムーズな販売をできるようになったことが一番のメリットだと言います。
「以前は一回の販売でエラーがいくつも出てしまうこともあり、非常にストレスでした。(Queue-itを導入してからは) エラーの数は以前に比べ激減し、繁忙期にも大変な思いをしなくて済むようになったので、本当に助かりました。」
エンドユーザーからも待合室は好評だったと言います。例えばある演劇のチケット購入者からは「以前より改善した」「待合室があることでいつ順番が来るかわかり安心」「連打していたときと比べストレスが減った」といった投稿がTwitterに見られました。
さらに、長谷川氏はQueue-itが提供するトラフィックデータも役立っていると言います。
「トラフィックデータのダッシュボードは主催者さん側からも閲覧できるよう設定しているので、反応の濃さをリアルタイムで確認してもらえます。同様のことはGoogle Analyticsでもできますが、Queue-itのモニタリング機能の方がずっと使いやすく、重宝しています。」