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「マイナスからスタートさせない」モス、50年に渡る顧客体験へのこだわり

MOS logo

株式会社モスフードサービス(以下モス)は、創業以来商品とおもてなしの質に徹底してこだわり続けています。コロナによりEC化が進む中、人気販売企画を目前に控えたモスは、「どうすれば快適・便利な顧客体験をデジタルの場でも届けられるか」という課題に直面します。そんな中、同社が選んだソリューションはQueue-itでした。

モス第一号店は、1972年、改装された2.8坪の元八百屋倉庫にオープンしました。今年50周年を迎える同社は、国内に約1,300店舗、海外に約400店舗を展開する、日本最大級のハンバーガーチェーンです。(2022年現在)

モスの成功は決して偶然ではありません。その背景には、創業以来こだわり続けている、商品とサービスの質の高さがありました。

作り置きを基本とするファストフードチェーンが多い中、モスはアフターオーダー制(注文を受けて作り始める制度)を採用しています。また、自社の規格を満たす全国3,000人以上の農家とネットワークを築き、各店舗の「野菜黒板」でその日の野菜がどの農家から入荷されたかを紹介しています。

モスを取り巻くハンバーガーチェーンビジネスは、創業時と比べ大きく変化しました。競争が激化しただけではなく、ここ数年はデジタル化が進んでいます。

そんな中、「これまで築きあげてきたサービスの水準と信頼度を、どのようにオンライン上でも確保するか」という課題が浮き上がりました。

この解決に挑むのは、デジタル化推進部の森永龍文氏と長谷川潤氏です。今回は、お二人に取材に協力いただき、オンライン移行や人気の福袋販売の背景、そしてQueue-itを使ってサイトパフォーマンスを向上させた経緯について伺いました。

 

人気キャラとのコラボ福袋が大きな反響に

モスの福袋は、近年大変な人気を集めています。

福袋といえば、ブランドや百貨店が、商品の売れ残りを袋詰めにし、新年に割引価格で売り出すのが一般的です。一方モスの場合、食事券と限定グッズの組み合わせを福袋として売り出し、既存・新規顧客へのタッチポイントにつなげているのが特徴です。

コロナの世界的流行を受けて、モスの福袋戦略は転換期を迎えました。対面での販売が難しくなる中、福袋販売はオンラインに完全移行。2022年には売上増加を狙って販売頻度を年3回(新年、春、夏)に増やしました。

モス史上初の春の福袋は、大人気の任天堂キャラクター、カービィとのコラボグッズでした。この発表を受けて、任天堂とモス、双方のファンから興奮の声が飛び交いました。

また、具体的な発売時刻の告知を始めたのも同企画が初めてでした。「以前は販売日のみを発表していましたが、お客様から『何時に開始するのかも公開してほしい』という要望が多くあり、発売日に加えて時刻も発表することにしました」と森永氏は言います。

発売当日。開始時刻の午前9時になった途端、ファンが一気にモスのサイトへアクセスし、サーバーダウンが生じてしまいました。

「初日の注文数は前回とそれほど変わらなかったのですが、オープン直後のアクセスの集中度は我々の予想をはるかに上回っていました。」森永氏は当時の状況を語ります。

復旧作業を経て販売は2時間後に再開しましたが、ファンからの期待度が高まっていた分、落胆の声が目立ったと言います。

「朝からリロードし続けているのに購入できない方や、用事があって再開時間に間に合わなかった方からSNSや相談窓口に不満の声が殺到し、これまでにないくらいのネガティブなVOCになってしまいました。」

モスはこの状況を軽視しませんでした。森永氏のチームは、「顧客体験をマイナスの感情からスタートするのは、今後どうしても避けなければならない」とし、次回の人気販売までにアクセス集中対策を万全にすることをその日中に決意したと言います。

 

夏の福袋で再起

同年夏の福袋では、人気のサンリオキャラクター、ポムポムプリンとのコラボが決定。春の福袋と同様、高い注目を集めました。同時に、森永氏のチームでは、トラフィック対策をとり販売促進につなげるべく、プレッシャーが一段と高まっていたと言います。

チームはこれに向けて、負荷テストで把握したサイトのキャパシティに合わせてサーバーを増強しました。加えて、サイトの機能をベストの状態に保ち、公平で楽しい顧客体験を届けるために、Queue-itの仮想待合室を実装しました。

実装を担当した長谷川氏は「2、3日あれば完了できるくらい、実装は簡単だった」と語ります。また、待合室の設定も専用の管理画面(GO Platform)からスムーズにできました。

「Queue-itの管理画面は非常に使いやすかったです。本来こういった案件は協力会社のベンダーの方にお願いすることが多いのですが、仮想待合室に関しては、Queue-itスタッフのサポートを受けながら、私の方が主導となって設定から動作確認までできました。」

モスフードサービス デジタル化推進部 長谷川潤氏

いよいよ夏の福袋販売当日。発売開始後、最初の1分間で約2,000人が、次の1分間でさらに1,500人が、モスのサイトにアクセスしました。

 

MOS traffic spike

しかし、アクセス集中によってサイトがダウンした前回とは打って変わり、モスは準備万端でした。アクセスが設定値を超えると、モス専用のカスタマイズされた仮想待合室が発動。ビジターはここへ案内され、待ち時間や待ち番号、モスからのメッセージをリアルタイムで確認できたり、メール通知機能を使うことができるようになったのです。

モスは、待合室から先着順に分間200~500人ずつサイトにリダイレクトしながら、顧客にシームレスなオンライン体験を提供することに成功しました。

MOS Queue page
モスの待合室画面。 シンプルでありながら親切なデザイン。

 

「万事非常にスムーズにいきました」と森永氏は振り返ります。サイトの障害を防ぐことで、販売促進にも顧客体験向上にもつなげることができ、モス社員にとっても、エンドユーザーにとっても満足のいく結果となったと言います。

「止まったり遅延することなく、ノートラブルでお客様の予約を受け付けることができました。SNSでは待合室に関するポジティブな投稿が非常に多く、苦情はほとんどありませんでした。」

 

Tweet 1
Tweet 2
Tweet 3

 

また、森永氏は、管理画面上でビジターの行動を可視化できたのもメリットだったと言います。結果、「人々は欲しいものを手に入れるためなら待つ」ことが実感できました。

 

「お客様に許容いただける待ち時間は5分程度だろうと予想していましたが、ふたを開けてみると、最大10分弱の待ち時間が生じた際でも、離脱率は予想よりはるかに低い結果となりました」

モスフードサービス デジタル化推進部 森永龍文氏

オンラインとオフラインの垣根を越えたおもてなし

オムニチャネル化が加速する中、モスのデジタル化推進部では、ITインフラと顧客体験の構築・改善が続いています。

そんな中、Queue-itの導入は、春の福袋販売後保留になっていた企画を再開し、チームの軌道を修正するのに役立ったと森永氏は言います。

「ネット注文のチームでは、次回福袋に向けてのアクセス集中対策でかなりのリソースを割いていたため、新規の案件は全て凍結していました。仮想待合室の導入後は、本来やるべきである他の案件や、お客様向けの新サービスに再着手できるようになったので、システム的にはとてもありがたいことです。」

さらに、仮想待合室のメリットとして、費用対効果の高さも挙げられると森永氏は言います。

「バーストに対して自社のリソースを使って対策するのは、どうしても割に合わない部分が出てきます。クラウド型のサービスを一時的に利用するのは理にかなっていると思います。」

スマートなトラフィック制御を行うことで、モスは「オンライン・オフラインの垣根を越えて、最高のおもてなしを提供すること」に全力投球できるようになりました。

「以前は、何か不都合があれば従業員がすぐにその場で対応を行うことができましたが、コロナ以降は、お客様と相対するシーンが少なくなりました。オンラインの場では人によるフォローは難しいため、今まで以上にITの仕掛けで顧客体験の向上を目指すべきだと思います。」

モスフードサービス デジタル化推進部 森永龍文氏

 

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