日本を代表するネット通販を運営する楽天は、フランスにおいても業績3位を誇ります。(取引業者8,500以上、月間ユーザー1,700万人)。セール時やテレビ特集後などの繁忙期に、同社はどのようにQueue-itで最高のサイトパフォーマンスを保っているのでしょうか。
8,500以上ものベンダーが2億点以上の商品を扱う楽天フランス。同国のオンライン通販市場では3番目の規模を誇ります。
近年はより中古の購入を勧めサステナブルな買い物を促進しているのが特徴で、例えばこちらのiPhone販売ページでは、製品の製造過程で排出される二酸化炭素量(10.54 kg)を記載し、環境への配慮を呼び掛けています。
楽天のブラックフライデーセールは、同社にとって重要な書き入れ時です。毎年各部署が総力を挙げて準備を行います。
その一方で、こうした大規模な販売があるたびに頭を悩ませていたのが、同社の開発運用チームです。繁忙期こそサイトパフォーマンスを最高に保つことが不可欠なものの、アクセスがインフラの処理能力を超えて障害を起こし、販売を妨げてしまうことが多々ありました。
「携帯電話のプッシュ通知を送信すると、500~1,000人のビジターから同時にアクセスがあったりします。こうしたトラフィック急増の負荷をどう処理するかは、ずっと悩みの種でした。」楽天フランスのインフラストラクチャ・マネージャーであるティボー・シモンド氏はそう打ち明けます。
「瞬く間に秒間0コールから秒間1,000コールに跳ね上がることもある。そんなときにキャッシュの読み込みが間に合わず、バックエンドに過負荷がかかっていました。」
また、メディア報道など、販売以外にも予期しづらいアクセス集中の機会は多々あったと言います。こうした事態を受け、開発運用チームは2021年度のセールに向けてバックエンドシステムを保護するための解決策を探し始めました。
「テレビ報道など、予想外のアクセス集中も起こりやすいため、チーム内はかなりぴりぴりしていました。障害を防ぐには、どんな状況下でも大量のサーバーリクエストに対応できるソリューションが必要でした。」
楽天フランスインフラ担当 ティボー・シモンド氏
対策を模索する中、チームは順番待ちツールを内製しようと試みました。しかしすぐに断念するに至ったと言います。
「高性能のものを内製するのは困難だと気づいたため、サポートも質も充実しているプロに任せることに決めました。実際にQueue-itを導入してみて、さすがエキスパートだと思いました。」
Queue-itを選んだ理由として、どんなアクセス集中下でもトラフィック処理力に優れていること、そして提供されているコネクタが25種類以上と豊富なため、既存のインフラに簡単に統合できたことを挙げています。
「インフラに合った統合ができたのは非常にありがたかったです。JavaScript統合だったので、JSタグを追加するだけととても簡単でした。」
2021年のブラックフライデーセールの日。楽天のサイトは仮想待合室があることでスムーズに機能し、セールは無事成功に終わりました。また、前回のサイト混雑時と比べ、顧客体験の向上にもつながったと言います。
「利用者にとっては、待合室で並んだ後きちんと購入に勧める方が、アクセス障害の画面を見せられるよりももちろん気持ちがいい。以前は5~10分間サイトが停止するだけでコンバージョン率が低下していましたが、今回はこれを防ぐことができましたし、販売期間を通して非常にスムーズでした。」
待合室導入後の楽天インフラチームは、メディア報道による予想しづらいアクセス集中にも安心して臨めるようになったと言います。例えば、同年クリスマス、某メディアから同社に関する取材報道許可の依頼が入りました。ニュースが発表されたのはわずかその翌日。そして報道の2分後には、サイトへのトラフィックが一分当たり581人から5,377人まで、819%増加しました。
「メディア側からの連絡がかなりぎりぎりだったにもかかわらず、仮想待合室のおかげで慌てることはありませんでした。また、トラフィックの動きに瞬時に反応するので、ほんの数分間のピークのためにリソースを費やす必要がなくなりました。今後も、どんなキャンペーンやPR活動にも落ち着いて対応できます」とティボー氏は言います。
仮想待合室を導入したことで、ティボー氏はどんな繁忙期でも、社名の通り「楽天的」でいられると言います。彼にとって、Queue-itの最大のメリットは、「セレニテ(フランス語で安心感という意味)」です。
「待合室のおかげで心から安心できるようになりました。確実にトラフィック管理ができる上に、変更が必要な場合はAPIやダッシュボードですぐに行うことができるので助かります。」
楽天フランス ティボー・シモンド氏